「心拍」書き増し

模倣犯は絶対いけないと思います。

模倣できるとしても、模倣しない、強い心は大切だと思います。

関係ないのだけれども、「心拍」書き増し。

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『モカ珈琲』

ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく

石川啄木

(『一握の砂』所収。1910年 (明治43年) 刊)

上野では、動物園にパンダの赤ちゃんが誕生した。

名前を公募している。

「愛の結晶」が生まれたこの土地。

私は小さな事務所で会社勤めをしている。

日本のあらゆる地域から人が集まる「バベルの人塚」。

神の怒りに、崩れてしまうことをおそれる。

どうにかして、つながりたいと人との結びつきを求める。

彼は、自然に人が集まる人。

街中育ちで、洗練された物言いがスマートだ。

人当たりが柔らかいわけでもないのに。

冷静な態度であるのに。

彼のようであったらよかった。

彼への感情をどう表現していいのかわからない。

とてももどかしい気がする。

細腕の私にできることといったら珈琲を入れることくらい。

何時も入れるのはモカと決めている。

モカのそれは、濃い茶色。そのままチョコレート色。

甘く、あまく、してあげたい気もする。

仕事に集中できるように、ビターにしたい気もする。

「チョコレート」にこの国では意味を持たせる。

気づかれないように。

彼と私では、立場が違い過ぎる。

一緒には、「いられない」運命。

一緒に使っては危険だから。

***

彼女が珈琲を運んでくる。

彼女が運んできた珈琲は「甘い」。

その温かな「思いやり」の入ったマグカップに口づける。

眠気なんかは、すぐに吹き飛ぶ。

一息つくと、心臓の鼓動が早くなるのがわかる。

彼女は私を「アップ」させてくれる。

***

私の思いと行動が、彼の気づきと「邂逅」するは遠くあるまい。

私は砂粒だ。

じっとりとした感情なしでは他人とつながることが出来ないだろう。

サラサラと乾いたときには、風の塵埃になるだけだ。

彼は黒土。

しっとりと潤うその土壌で、豊かな造物を育て上げるだろう。

乾くほどの困難に、彼は見舞われまい。

そして、困難に見舞われたとしても、彼はやすやすとは乾かず、粘り強く雨を待つだろう。

殺したいほど憎くて、生かしたいほど愛おしい。

彼への感情に名前はまだない。

ふるさとの 訛りなくせし友といて モカコーヒーは かくまで苦し

寺山修司

(「空には本」所収。1958年(昭和33年)刊。)

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「心拍」の方が、よくできていた気がする。

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生きて。

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